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動物愛護法に向けた他業界からのメッセージ

動物愛護法の中の実験動物に関するメッセージ

末田輝子氏(実験動物技術者)
欧米では、動物は「痛みを感ずる能力のあるモノ」と定義をされており、実験動物の苦痛軽減の重要性はとても大きく認識されています。ですから、その倫理的課題を解決するために多くのガイドラインが作成されており、動物の健康とウエルビーイングにおいて獣医師の役割と責任を明確に謳っています。たとえば、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals 8th ed.(2010)やEUROGUIDE: On the accommodation and care of animals used for experimental purposesが代表的です。一方、我が国における法律(動物の愛護及び管理に関する法律)や基準(実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準)は、先のガイドラインに比べると具体性に欠けるため、その運用には個別性が大きくなります。ですから、3Rを推進していくためには、動愛法及び基準の趣旨の実行を担保する資格者となるべき、獣医師の責任について言及すべきと考えます。

また、日本の特徴として実験動物に対する縦割り行政があり、加えて行政の傘下にない分野での動物実験も多々あります。ですから、動愛法や各省庁の通知する基準の周知徹底には、すべての動物実験や実験動物に関する施設を把握する必要があるのではないでしょうか?そのためには、自治体等行政機関に登録が必要であり、動物実験や実験動物に関する窓口は一本化されるのが望ましいと考えます。

動物愛護法の中の産業動物に関するメッセージ

日本女子大学家政学部
教授 細川 幸一

動物愛護管理法は家畜動物(産業動物)も対象になっていますが、畜産業者も消費者もそのことをあまり意識していないように思われます。その理由は、第一に法律名に「動物愛護」の文言が入っており、最後はと畜して人間の利益に供する家畜に使う文言としてふさわしくないこと、第二に、 産業動物取扱業が同法の「動物取扱業」から除かれており、産業動物に関する個別規定も同法にはないことが挙げられます。
しかし、1年間に人間のために命を奪われる産業動物の数(2017年)は乳牛132 万 3,000頭、肉用牛 249万9,000頭、豚934万6,000頭、採卵鶏1億7,636万6,000羽、淘汰されるオスの初生雛約1億羽、 肉用鶏6億7,771万3,000羽と膨大な数に及びます。こうした、たくさんの産業動物に対して実際に本法があまり機能していないことは由々しき問題です。牛や豚、鶏、馬も犬や猫などのペットの同じく意識・感覚を持ち、地球上に人間とともに生きる動物です。最後はと畜して人間の食に供するとしても、生きものとしての尊厳に配慮した扱いがなされるべきです。

2020年に開催される東京オリンピックの食材調達ではGAPの取得が要件となっており、アニマルウエルフェアも環境や人権とともに配慮すべき問題となっています。しかし、アニマルウエルフェアを定めた法制度は現在、本法しか存在しません。しかし、このように不十分な内容となっています。今年の法改正ではぜひ、産業動物が同法の対象であることを明確にするとともに、産業動物の福祉向上に資する具体的内容を盛り込んでいただきたいと思います。

動物愛護法の中の展示動物に関するメッセージ

Wild Welfare プロジェクトディレクター 
ジョージーナ・アレン

Wild Welfareは、動物園・水族館・個人施設で飼育されている野生動物の日本の飼養基準の見直しと更新を支持します。過去3年間、私たちは野生動物を飼育している日本の数多くの施設・団体と連携してきました。特に日本各地で見られるクマ牧場での低い福祉、残酷な行為や虐待を防ぐ効果的な国の動物福祉評価や監視が不足していることを懸念しています。しかし私たちは、動物福祉マネジメントや管理について独自の基準を発達させていっている日本動物園水族館協会と前向きな関係を継続しています。

現在の日本の動物管理愛護法第二条と第七条第1項の不適切な飼育の禁止、適正飼養の義務規定は飼育下の動物に適用されますが、魚類は含まれません。そして、現在、特に飼育下の野生動物の福祉的ニーズに対応する規制はなく、一部の種のための義務的仕組みもすべて家畜化された動物のためのものでしかありません(第44条)。動物園のような業の登録は、施設が動物に健康と安全を提供できない場合のみ拒否されるとなっています。しかし、動物の精神的な福祉については適用されません。このように、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、甲殻類を含む飼育下の野生動物の規制は制限されており、日本の動物園・水族館の飼育は国内外からの批判にさらされ続けるでしょう。

国の道徳的基準の指標としての動物への配慮と保護の重要性についての社会の理解は、ますます広がっています。動物福祉は、主要なエシカルな問題であり、かつ実践的重要性のある問題として認識されてきています。感覚を持ち、共にこの惑星を共有している人間以外の動物たちは、意識、感情、感覚、知覚、痛み・苦しみ・幸福の状態を感じる能力も私たちと共有しているということが科学的に示されています。野生動物の福祉は重大な社会全体の関心ごとであり、低い福祉は絶滅の恐れのある種の保全において悪い結果につながる恐れもあります。飼育下の動物福祉の概念をはっきりと国の法に含めることによって、飼育施設の明確で具体的な管理、規制、改善を支援することができます。飼育下の動物についての法的拘束力がある規制は、飼育施設の良い管理を促進し、管理項目について明快で簡潔なガイダンスを提供します。このような規制は、細則と行動基準をもって、一般的な動物福祉施策とより具体的な管理慣行を支えます。最も重要なことは、このような規制が飼育下の野生動物の取り扱いと管理に国がコミットしているということを証明できることです。
Wild Welfareは、飼育下の野生動物が満たされるべき項目を定義し、動物の苦しみを引き起こす事故を防ぐ、国レベルでの動物福祉法の発展を強く支持します。規則項目には、動物の健康と福祉に深刻な悪影響が及ぶ前に、問題が早い段階で特定され修正されることを可能にするための動物の取り扱いに関する基準を含まなくてはなりません。違法または一貫して合意された条件を満たしていない施設は、問題が修正されるまで一般に公開されるべきではありません。

将来の日本の法律において、野生動物の福祉が優先されることを確実にするために、適切で確実な仕組みが作られることが不可欠です。規定された動物福祉基準の条件を満たすことは、行政と個々の施設間の対話を促進し、また、福祉基準を絶えず改善するよう設計された新しい管理規則の実施と普及を助けます。さらに、動物園と水族館についての国内外からの批判に対処するための根拠と評価基準も提供します。

どの飼育下の野生動物施設も、保全の成果を支えつつ最高の福祉水準に達し、社会の期待に応え、そして、飼育下の野生動物の未来とその継続的保護に日本が倫理的、道徳的に関わることにより、市民からの信頼が高まるような未来をWild Welfareは思い描いています。
Wild Welfare(ワイルドウェルフェア)について
Wild Welfareは、主要な動物園と世界中の動物福祉NGOを引き合わせることによって福祉スタンダードを改善することに焦点を置く、飼育下の野生動物のための初めての新しい試みです。私たちは認可動物園の専門家、動物園協会、世界的に有名な動物福祉NGO間の対話を促進し、知識のある専門家としてのアプローチ、知識に基づいた決断、強固なパートナーシップの構築などを通して、飼育下の動物の福祉に関する建設的な国際的運動を作ったり、困難な課題を解決することに重きを置いています。Wild Welfareは、それぞれのミッションの実行において協力、コミュニケーションをとることによる潜在的利益を認識しています。成功のカギは、地域の動物園協会や政府機関、国際NGOなどの主要な利害関係者間での連携の発展と強化によって成り立つ、パートナーシップの成長です。



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