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OIE水生動物衛生規約 第7.4章「養殖魚の福祉」全文仮訳

OIEの動物福祉規約「養殖魚の福祉」の仮訳を掲載します。この仮訳はアニマルライツセンターのボランティアメンバーが飜訳したものであり、国による正式な訳ではありません。日本政府は、OIE(世界動物保健機関 旧国際獣疫事務局)に批准しておりこれら規約の策定にも関わっているにもかかわらず、国内向けには普及を行なっていません。とくに養殖魚の福祉に関しては2009年に策定されたにもかかわらず、活用されている様子はありません。

※陸生動物の福祉に関して(特に屠殺輸送に関して)もほぼ同様の状況にあります。

OIEは獣医師の集まりであり、多くの知見をもって規約を策定しています。そのため、出来上がっている規約の多くが、非常に明確に、具体的に福祉や技術を向上させる方法が書かれています。この養殖魚の福祉に関しても同様です。OIEは世界180カ国が批准しており、この規約は明らかに世界基準と言えるものです。しかし、日本では守られていない、知られてもいない、という状況にあるのです。

水生動物衛生規約 第7部 養殖魚の福祉

7.1.章

養殖魚の福祉の導入へ向けた序論

7.1.1条

指導原則

1)以下の事柄を配慮すること。

a)捕獲や捕獲漁業、研究、レクリエーション(例えば、観賞用や水族館)を目的とする魚類の利用は、人々の幸福に大きく貢献する

b)魚の健康と福祉との間には重要な関係がある。

c)養殖魚の福祉の改善はしばしば生産性を向上させ、その結果経済的利益につながる。

2)OIEは、輸送、屠殺、および病害抑制のための淘汰における、養殖魚(観賞魚を除く)の福祉のための勧告を作成する。これらの発展に向けて、以下の原則が適用される。

a)魚類を利用するにあたり、利用される動物の福祉を最大限に確保するための倫理的責任が求められる。

b)魚類の福祉に関する科学的評価には、科学的根拠に基づくデータと考慮すべき価値観による仮定が含まれ、これらの評価プロセスはできるだけ明示的に行われなければならない。

7.1.2.条

推奨の科学的基盤

1)養殖魚の福祉の基本的要件には、魚類の生物学的特性に適した取扱い方法と、当該魚類のニーズを満たす適切な環境が含まれる。

2)多くの魚種が養殖され、それぞれが異なる生物学的特性を持っている。個々の魚種に対応した具体的勧告を作成することは現実的ではない。したがって、OIEの勧告においては、一般的な養殖魚の福祉を扱う。

NB: f初回採用2008年

7.2.章

輸送中の養殖魚の福祉

7.2.1.条

適用範囲

この章では、養殖魚(以下、魚)の福祉への輸送の影響を最小限に抑えるための推奨事項について述べる。これらの推奨事項は、国内及び多国籍間の空路、海路または陸路による輸送に適用され、魚の福祉に関連する問題のみを考慮対象とする。

魚の輸送に関する水生動物の健康リスクを管理するための措置に関する勧告は、5.5章に含まれる。

7.2.2.条

責任

輸送中に魚を取り扱う者はすべて、魚の福祉への潜在的影響を考慮する責任を負う。

1)輸出入管轄に関する管轄当局の責任には、以下のものを含む。

a)輸送中の魚の福祉のための最低限の基準を定めること。基準には輸送前、輸送中及び輸送後における検査や輸送に関わる適切な認証、記録の保持、輸送に関わる者の意識啓発、訓練を含む。

  1. b) 輸送会社の認証を含む、基準の実施を保証すること。

2)輸送の開始時と終了時に、魚の所有者と管理者は以下の責任を負う。

a)魚の一般的な健康状態および輸送の開始時における魚の輸送への適性および輸送中の魚の全体的な福祉を保証すること。これらの義務を第三者が請け負う場合も同様とする。

b)訓練を受けた有資格者が、怪我を避け最小限のストレスを与えるような方法による魚の積み下ろしが可能となるよう、施設内での作業を監督すること。

c)必要に応じて、輸送の開始時と終了時及び輸送中に、魚を人道的に淘汰することを可能にするための緊急時計画を策定すること。

d)魚が適した環境を与えられた状態で目的地に運ばれ、到着後もその福祉が確実に維持されていること。

3)輸送に関わる者は、養殖場所有者及び管理者と協力して、魚の健康および福祉基準に沿って輸送が行われることを確実にするための輸送計画を立てる責任を負う。当該福祉基準には下記の内容を含むものとする。

a)輸送される魚種に適し、十分に維持管理された輸送手段を使用すること。

b)魚の積み下ろしにあたっては訓練を受けた有能なスタッフを配置し、必要があれば魚を迅速かつ人道的に淘汰する態勢を確保すること。

c)緊急事態に対処し輸送中に魚が受けるストレスを最小限に抑えるための緊急時対応計画を策定すること。

d)輸送車両からの積み降ろしに適した装置を選択すること。

4)運輸管理責任者は、輸送に関する手順を全て文書化すること、及び輸送中の魚の福祉に関わる勧告の実施に責任を負う。

7.2.3.条

必要な能力

積み下ろしを含む輸送活動を監督するすべての当事者は、魚の福祉がプロセス全体を通じて維持されることを確実にするための適切な知識と理解を持つものとする。この能力は、正式な訓練および/または実践的な経験を通して取得することができる。

1)生きた魚を扱い、または輸送中に生きた魚に対する責任を負う全ての者は、7.2.2.条に定める責任に応じた能力を持つものとする。

2)管轄当局、養殖場経営者/運営会社、運送会社は、それぞれの職員他の担当者に訓練の機会を提供する責任を負う。

3)必要な訓練には、以下の魚種固有の知識の習得と実務経験を含むものとする。

a)魚の行動、生理学、病気の一般的な徴候、および福祉が不十分な状態

b)魚の健康と福祉に関する設備の操作と維持管理

c)水質と適切な水の交換手順

d)運搬、積み下ろしの間の生きた魚の取り扱い方法(当該魚種固有の側面)

e)魚の検査方法、輸送中に頻繁に生ずる水質の変化、悪天候、緊急時の管理方法

f)7.4.章の規定に適合する魚の人道的な淘汰方法

g)運送日誌と記録の保存

7.2.4.条

輸送計画

1.一般的考慮事項

適切な計画の作成は輸送中の魚の福祉に影響を与える重要な要素となる。事前の輸送準備、輸送の期間および経路は輸送の目的によって決定されるべきであり、その例として、防疫問題、食用養殖や漁業資源増強のための魚の輸送、病害抑制のための淘汰・殺処分などが挙げられる。輸送開始に先立ち輸送計画を作成するにあたっては以下の点を考慮するものとする。

a)必要な車両および輸送機器の形式

b)輸送経路(目的地までの距離、予想される天候および/または海上の状態など)

c)輸送の性質と所要時間

  1. d) 荷降ろし地の水質に対する魚の順応の必要性の評価

e)輸送中の魚に対する配慮の必要性

f)魚の福祉に関わる緊急時の対応手順

  1. g) 必要な防疫水準の評価(例えば、洗浄および消毒の実践、水交換のための安全な場所、輸送用水の処理)(5.5.章参照)

2.操作機器を含む輸送車両の設計と維持管理

a)魚の輸送に使用される車両および容器は、輸送される魚の種類、大きさ、重量および数に対して適切でなければならない。

b)輸送される魚の福祉に直接または間接的に影響を与える可能性のある車両の予測可能かつ回避可能な損傷を防止するため、車両および容器は機械的および構造的に良好な状態に維持されなければならない。

c)防疫上の理由で漁船のバルブを閉めることを含め、輸送状況や動物のニーズに対応するため、輸送車両(該当する場合)および容器には水と酸素供給のための適切な循環機器を備えなければならない。

d)魚の福祉の評価を確実に行うため、魚は必要に応じ輸送中の検査が容易な状態に置かれなければならない。

e)魚の福祉に関する車両備え付けの文書記録には、受け取った魚、視察情報、死亡率、処分/保管を記録した輸送記録を含まなければならない。

f)魚を扱うために使用される機器、例えば網やすくい網、吸引装置や牽引装置は、魚が受ける損傷を最小限とするよう設計、製造され、維持管理されなければならない。

3.水

a)水質(例えば、酸素、二酸化炭素、アンモニア濃度、pH、温度、塩分)は、輸送される魚種および輸送方法に適したものでなければならない。

b)輸送時間の長さに応じた、水質を監視し維持するための設備が求められる。

4.魚の輸送のための準備

a)輸送前には、輸送される魚種および成長段階を考慮し、飼料を与えることは控えねばならない。

b)輸送のストレスに対する魚の適応能力は、健康状態、以前の取り扱い、および魚の最近の輸送履歴に基づいて評価されなければならない。 一般的に、輸送に適した魚のみを積載しなければならない。病害抑制のための輸送は、第7.4章に従うものとする。

c)魚の輸送適性の不適合理由は以下の通り。

ⅰ)疾患の臨床徴候が見られること。

ⅱ)急激な呼吸や異常な遊泳などの重大な身体的傷害または異常な行動。

ⅲ)行動または生理学的状態に悪影響を与えるストレッサー(例えば、極端な温度、化学薬品)に対して

最近さらされたこと。

ⅳ)絶食期間が不十分または過剰であること。

5.魚種固有の推奨

輸送手順において輸送される魚種固有の行動や必要性を考慮しなければならない。一つの魚種で奏功した処理手順であっても、他の魚種では効果的でないか危険である可能性がある。

魚種あるいは成長段階によっては、給餌の停止または浸透圧への順応等、新しい環境に入る前に生理学的な準備が必要となり得る。

6.緊急時の計画

運送中に生じうる魚にとって重要かつ不利益な福祉的事象に対する管理手順及び各事象に対して取られるべき措置を明確に定める緊急時の計画を策定しなければならない。この計画においては各事象に対して実施すべき措置と、通信および記録保管を含む関係者すべての責任を文書化する必要がある。

7.2.5.条

文書

1)必要な文書を完成した後に、魚を積むこと。

2)委託に付随する文書(輸送記録)には下記の内容を含むものとする。

a)委託の説明(例えば、日付、時間、積載場所、魚種、積載生物量)。

b)輸送計画の説明(例えば、経路、水交換、予定時刻、到着・荷降ろしの場所、および受領者連絡先情報を含む)。

3)運送記録は、運送委託配送者及び受取人が閲覧できると同時に、要請があれば水性動物衛生局も閲覧できるものとする。前回輸送以降の輸送記録は、輸送完了後、水生動物衛生局が指定した期間保管しなければならない。

7.2.6.条

魚の積載

1)魚の負傷や不要なストレスを回避するため、下記の課題に取り組むものとする。

a)養殖池、水槽、網またはケージ内における積載前の積荷手順。

b)不適切に建設(例えば鋭利なカーブまたは突起)されたか不適切に操作(例えば不適切な大きさや数量の魚の過積載)されたネット、ポンプ、パイプ、継手などの設備。

c)水質(著しく異なる水温や他の水のパラメータで魚が輸送される可能性がある場合、魚種によっては環境に順応させなければならない)。

2)輸送車両および/または容器内の魚の密度は入手可能な科学的データに基づかねばならず、所与の魚種および状況に対する一般的な許容限度を越えてはならない。

3)魚の積載にあたり、魚の福祉が維持されることを確実とするため、魚種の行動やその他の特性に関する知識と経験を持つ管理者がこれを実施し、または監督しなければならない。

7.2.7.条

魚の輸送

1.一般的考慮事項

a)許容可能な福祉が維持されていることを確認するため、輸送中も定期的な点検が行われなければならない。

b)水質の監視、及び極端な状況回避のため必要な調整が行われていることを確認すること。

c)魚の輸送は、ストレスや損傷の原因となりうる魚の制御不能な動きを最小化する方法で実施すること。

2.病気や怪我を負った魚

a)輸送中に魚の健康を害する緊急事態が発生した場合、車両運行者は緊急時対応計画を開始しなければならない(7.2.4.条ポイント6参照)

b)輸送中に魚を淘汰することが必要な場合は、7.4.章の規定に従い人道的に行わなければならない

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 出典・引用元WEBサイト: NPO法人アニマルライツセンター 毛皮、動物実験、工場畜産、犬猫等の虐待的飼育をなくしエシカルな社会への更新情報

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